これはまだ会社員だった頃の話です。突然の部署異動が決まり、わずか1週間ほどで後任者への引き継ぎを済ませなければならない状況になったことがありました。当時は口頭で説明すれば大丈夫だろうと軽く考えていたのですが、異動後にトラブルが起き、後任者から何度も問い合わせの連絡が来ることになってしまいました。
この経験は正直かなり心苦しいものでしたが、今フリーランスとして案件を進める中でも、この時の反省が形を変えて役立っています。
失敗の原因は「頭の中にしかない情報」だったこと
振り返ると、私が引き継いでいた業務の多くは、マニュアル化されておらず、私の頭の中にしかない情報ばかりでした。口頭での説明は、その場では分かった気になっても、後になって細かい部分を思い出せないことが多く、後任者を困らせる原因になっていたのです。
見直した引き継ぎの考え方
必ず文書に残す
以前は口頭で一通り説明して終わりにしていましたが、今は必ず文書に残し、後から見返せる状態にしています。通常業務だけでなく、イレギュラー対応やトラブル事例も含めて記録するようにしました。
手順と一緒に理由も書く
作業の手順だけでなく、なぜその手順で行っているかという背景も記載するようにしています。この習慣は、あの時の反省が直接活きている部分です。手順だけを伝えると、状況が少し変わったときに応用が利かず、結局また立ち止まってしまいます。理由まで伝えることで、後任者や次の担当者が自分で判断できるようになると感じています。
引き継ぎ後もフォロー期間を設ける
以前は引き継ぎ後は関与しないスタンスでしたが、今は引き継ぎ後1〜2週間は質問を受け付ける期間を設けるようにしています。関係者の連絡先や、確認すべき相手を一覧にしておくことも忘れないようにしています。
フリーランスの引き継ぎにも共通すること
フリーランスとして長期の案件を途中で他のメンバーに引き継ぐ場面でも、同じ考え方が役立っています。クライアントから預かった資料の管理方法や、過去のやり取りの経緯を文書化しておくことで、急な体調不良などで対応できなくなった場合でも、スムーズに引き継げる体制を意識するようになりました。引き継ぎ資料を作る作業は、実は自分自身の頭の整理にもなります。当たり前だと思っていた作業を言語化する過程で、非効率な部分に自分で気づけることも多く、単なる後任者へのサービスではなく、自分の仕事の見直しにもつながっていると感じています。
| 以前のやり方 | 見直した後のやり方 |
|---|---|
| 口頭で一通り説明して終わり | 必ず文書に残す |
| 通常業務だけ説明 | トラブル事例も含めて記録 |
| 引き継ぎ後は関与しない | 1〜2週間は質問を受け付ける |
まとめ
- 頭の中にしかない情報は、いずれ必ずトラブルの原因になる
- 手順だけでなく「なぜその手順か」という背景も記録する
- トラブル事例と対応方法も引き継ぎ資料に含める
- 引き継ぎ後も一定期間は質問を受け付ける体制を作る
次に何かを引き継ぐ機会があれば、まず「なぜその作業をしているか」を一言添えて記録することから始めてみてください。

